長谷寺のお葉付きいちょう

長谷寺のいちょうは鳴門市の天然記念物です。
樹齢は推定600年といわれていますが、
本当のところは切ってみないとわかりません。
下の写真が長谷寺の紋です。長谷寺の歴史が500年。
できたころから大きないちょうがあっただろうから、
推定600年というわけです。
いちょうは背の高い木ですが、
台風で折れてしまったということで、横に広がっています。
ご存知のように、いちょうには銀杏が実ります。
いちょうの葉と銀杏は、枝から別々に出ていますが
、ときおり、葉の裏に銀杏の実を付けた葉が見られます。
これが「お葉付きいちょう」です。

写真は、埼玉在住のきり絵作家雨宮冗快さんの切った
「お葉付きいちょう」です。
「お葉付きいちょう」がなぜできるのか、
本当のところはよく分かってはいません。
ただ、「先祖返り」説というのは、魅力的です。
植物のルーツに近いものにシダがあります。
シダは胞子を葉の裏に付けます。
いちょうも年老いていくと、ずっと大昔の先祖の記憶を思い起こし、
葉の裏に種である銀杏を付ける。これが「先祖返り」説です。
山梨県の身延町というところには、
国の天然記念物に指定されている「お葉付きいちょう」が幾本かあります。
中でも大きいのは、上沢寺のものです。
写真はこの上沢寺の「お葉付きいちょう」。絵葉書を写したものです。
上沢寺のいちょうは幹の太さが6.4b。
長谷寺のものは6.66bですから、「お葉付きいちょう」では日本一の太さかも知れません。


1999年4月のいちょう

長い冬が終わり、いよいよ待ちわびた春です。
前年の師走にすっかり葉を落としたいちょうが、ちょうど桜の散る頃、再び目を覚まします。冬の間茶色の寒々とした色をしていたいちょうが、うっすらと緑の化粧を始めました。
近づいてみると、小さな葉がいっせいに顔を出しているのが分かります。
もっと近づいてみましょうか。
このころのいちょうの葉たちは、本当に可憐でカワユイです。


7月のいちょう

7月ともなれば、葉は色を濃くして、緑陰を大きく広げています。
以前ならこの下に石のテーブルとベンチが置かれ、緑陰読書に絶好のロケーションだったのですが、囲いを作ったのでそういうわけにもいかなくなりました。

銀杏も膨らんできました。


9月のいちょう

遠くから眺めるだけでは7月のいちょうとあまり変わりませんが、近寄ってみるとこんなに銀杏が実っています。
台風たちは、あまたの枝と銀杏を落として、東に去って行きます。台風の翌朝は掃除が大変です。
早く拾わないと、お墓参りの車がふんづけて潰して、掃除はしにくいし独特のにおいが鼻をつきます。
このころになると、境内は、ビニール袋を持った銀杏拾いの人たちで賑わいます。銀杏を拾うのはいいのですが、せめてお参りをして、本尊さんにご挨拶をしてからにして下さいね。


11月のいちょう

9月の台風ですっかり実を落としてしまったいちょうは、11月になってようやく色づき始めます。
ほかのいちょうたちに比べて、ちょっと遅いみたいです。
あざやかな黄色のいちょうもいいですが、緑のメッシュの入った色づきを終えてない、いちょうも好きです。
いつもなら11月の半ばには紅葉を終えているのですが、年々遅くなっているみたい。
地球規模の気温の上昇に、いちょうも戸惑っているみたいです。


12月のいちょう

鮮やかに色づいたいちょうを撮りそこなってしまいました。色づきが他より遅いからといって、散るのも遅いというわけでもないようです。ですからピークは短い。

銀杏はみなさんが拾ってくれますが、なぜか落ち葉は誰も拾ってくれません。師走の境内のそうじは、いちょうの葉との戦いです。年内に散ってくれるでしょうか。

いちょうの葉は燃えないので、始末に困ります。燃えないから防火に役立つんでしょうね。神社仏閣にいちょうの木が多いのはきっとそのせいでしよう。



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